1. はじめに
産廃収集運搬業を続けていると、「個人から法人へ切り替えたい」「会社を譲渡することになった」「親族に事業を引き継ぎたい」など、名義を変えたい場面が出てきます。
そのとき多くの方が疑問に思うのが、「産廃収集運搬許可は名義変更できるのか?」という点です。
結論から言うと、産廃収集運搬業許可は原則として名義変更(許可の引き継ぎ)ができません。
個人→法人、法人→法人、事業譲渡などの場合は、多くのケースで「新規申請」を行い、改めて許可を取り直す必要があります。
この記事では、産廃収集運搬許可が名義変更できない理由と、実務上どう対応すべきかを分かりやすく解説します。
この記事で分かること
- 産廃収集運搬許可が名義変更できるかどうか
- 個人→法人、法人→法人の対応方法
- 事業譲渡・相続のケース
- 必要書類と手続きの流れ
- よくある失敗と対策
- 行政書士に依頼するメリット
2. 制度の概要
産業廃棄物収集運搬業許可は、廃棄物処理法に基づき、都道府県知事または政令市長が許可を出す制度です。
この許可は「申請者の適格性」を審査したうえで付与されるものであり、申請者が変われば、許可の前提が変わることになります。
つまり、許可は「事業そのもの」に付与されるというより、許可を持つ人(法人・個人)に対して与えられる資格という性質が強いです。
そのため、名義が変わる場合は原則として許可を引き継ぐことができず、新しい名義で新規申請が必要になります。
3. 取得条件
名義変更ができない以上、新しい名義で許可を取り直す場合、通常の新規許可と同じ要件を満たす必要があります。
新規取得と同じ主な要件
- 欠格要件に該当しないこと
- 講習会を修了していること
- 車両など運搬施設を確保していること
- 適切な事務所を確保していること
- 経理的基礎(資金力)があること
- 事業計画が適正であること
補足:法人化すると役員全員が審査対象になる
個人から法人に切り替える場合、法人の役員全員が欠格要件チェック対象になります。
役員が多いほど提出書類も増え、審査リスクも増える点は注意が必要です。
4. 必要書類
名義変更ではなく新規申請になる場合、提出書類も新規と同じになります。
新規申請で必要な主な書類
- 許可申請書
- 事業計画書
- 講習会修了証の写し
- 車検証の写し
- 車両写真
- 住民票(個人・役員)
- 登記されていないことの証明書
- 誓約書
- 納税証明書
- 残高証明書
- 登記簿謄本(法人の場合)
- 定款(法人の場合)
- 決算書(法人の場合)
注意点:許可番号が変わる
名義が変わると、許可番号も変わります。
そのため、取引先への契約書・マニフェスト管理・表示義務など、運用面の変更も必要になります。
また複数県許可を持っている場合は、県ごとに新規申請が必要になるため負担が大きくなります。
5. 費用
名義変更できない=新規申請費用が発生する
名義変更ができず新規申請になる場合、自治体へ支払う手数料は
- 81,000円前後(1県あたり)
となります。
さらに講習会費用や証明書取得費用もかかります。
追加費用が発生しやすいケース
- 法人化に伴う設立費用(定款認証・登記費用など)
- 複数県許可の再取得(手数料が県数分必要)
- 行政書士報酬(申請件数分)
- 車両表示の変更(社名・許可番号の貼替)
名義変更を軽く考えていると、予想以上にコストが膨らむことがあります。
6. 手続きの流れ
個人→法人、または事業譲渡などで許可を取り直す場合の流れは以下です。
- 新しい名義(法人設立や譲受人)を確定
- 欠格要件の確認
- 講習会修了証の準備(必要に応じて受講)
- 車両・事務所の確保
- 必要書類(住民票・登記簿・納税証明など)の取得
- 新規許可申請書類の作成
- 自治体へ申請
- 審査・補正
- 新しい許可証交付
- 旧名義の事業を終了し、新名義で営業開始
重要なのは、許可が下りるまで旧名義の許可をどう扱うかです。
計画なしに切り替えると、許可がない期間が発生し営業停止になります。
7. よくある失敗
名義変更の相談で特に多い失敗を紹介します。
よくある失敗① 名義変更できると思い込み、直前に慌てる
産廃許可は基本的に引き継げません。
「届出だけで済む」と考えていると、取引先との契約や事業継続に大きな影響が出ます。
よくある失敗② 法人化したのに個人名義の許可で営業を続けてしまう
法人が運搬するなら法人の許可が必要です。
個人許可のまま法人として営業すると、無許可営業と判断されるリスクがあります。
よくある失敗③ 複数県許可を持っているのに、1県だけ新規申請して終わったと思う
県ごとに許可が必要なので、名義切替も県ごとに手続きが必要です。
一部の県だけ許可が切り替わっていないと、運搬できない県が発生します。
よくある失敗④ 役員に欠格要件該当者がいて法人許可が取れない
個人では問題なかったが、法人化したら役員の欠格要件が原因で許可が取れないケースがあります。
法人設立前に必ず確認が必要です。
よくある失敗⑤ 許可番号が変わり、車両表示・契約書・マニフェスト管理が混乱する
許可番号が変わると、現場の運用にも影響します。
切替スケジュールを決めずに進めると、現場が混乱しやすいです。
8. 行政書士に依頼するメリット
名義変更ができない産廃許可では、「切替計画」を誤ると営業停止になり、取引先を失う可能性があります。
行政書士に依頼すれば、旧許可を活かしながら新規許可を取り直すスケジュールを立て、事業を止めずに切り替えることが可能になります。
行政書士に依頼するメリットは以下です。
- 名義切替に必要な手続きを正確に整理できる
- 旧許可と新許可の切替時期を調整できる
- 複数県許可の切替も一括管理できる
- 法人化に伴う定款目的や役員要件もチェックできる
- 無許可営業リスクを防げる
「名義変更をしたい」と思った時点で相談するのが、最も安全です。
9. まとめ
産廃収集運搬業許可は原則として名義変更ができず、個人→法人、法人→法人、事業譲渡などの場合は新しい名義で新規申請が必要になるケースがほとんどです。
そのため、許可切替には時間と費用がかかり、計画を誤ると営業停止リスクも発生します。
特に複数県許可を持っている場合は、県ごとに再申請が必要となるため、早めの準備が重要です。
「法人化したい」「事業を引き継ぎたい」「許可を切り替えたい」という場合は、行政書士に相談することで、事業を止めずにスムーズな許可取得が可能です。
産廃収集運搬許可の切替をご検討中の方は、お早めに専門家へご相談ください。
代表 上田信吾
所在地 兵庫県神戸市中央区坂口通6-3-22-2
電話 050-5873-4548(受付 8:00~18:00)
休業日 不定休

