1. はじめに
家族が亡くなると、葬儀や各種届出に追われる中で「相続手続き」を進めなければなりません。しかし、いざ相続となると多くの方が疑問に思うのが次の点です。
- 相続手続きは自分でできるのか?
- 行政書士に依頼すると高いのでは?
- 何から始めればいいのか分からない
- 書類が多すぎて途中で挫折しそう
結論から言うと、相続手続きは自分で行うことも可能です。
ただし、相続人の数や財産の種類によっては、手続きが非常に複雑になり、時間と労力が想像以上にかかるケースも多くあります。
この記事では「相続 手続き 自分で できる」をテーマに、自分でできる相続手続きの範囲、必要書類、費用、流れ、よくある失敗、そして行政書士に依頼するメリットまで詳しく解説します。
2. 相続とは
相続とは、亡くなった方(被相続人)の財産や権利義務を、相続人が引き継ぐことです。
相続財産には次のようなものが含まれます。
- 預貯金、現金
- 不動産(土地・建物)
- 株式、投資信託
- 自動車
- 生命保険金(契約形態による)
- 借金、ローン、保証債務
相続は単に財産を受け取るだけではなく、借金などの負債も引き継ぐ可能性があるため注意が必要です。
相続が発生した場合、相続人は「相続するか」「相続放棄するか」を判断し、必要な名義変更や解約手続きを進めます。
3. 自分でできるケース・難しいケース
相続手続きを自分でできるかどうかは、次の条件によって大きく変わります。
自分でできる可能性が高いケース
以下の条件が揃っていれば、相続手続きを自力で進められる可能性は高いです。
- 相続人が配偶者と子のみなど少人数
- 相続人同士が仲が良く揉めない
- 財産が預貯金中心でシンプル
- 不動産がない、または1件のみ
- 借金がなく財産内容が明確
- 遺言書があり内容が分かりやすい
この場合、必要書類を揃えて各機関へ提出すれば、相続は自分で完了できることが多いです。
自分で進めるのが難しいケース
一方、次のようなケースは自分で進めると時間がかかり、途中で挫折しやすい傾向があります。
- 相続人が多い(兄弟姉妹相続など)
- 代襲相続が発生している
- 相続人の一部と連絡が取れない
- 不動産が複数ある
- 遺産分割協議がまとまらない
- 被相続人が会社経営者で財産が複雑
- 相続税申告が必要な可能性がある
こうした場合は、行政書士など専門家のサポートを受ける方が結果的に早く終わることが多いです。
4. 必要書類
相続手続きを自分で行う場合、最も大変なのが「必要書類を揃えること」です。
相続人確定のための書類
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式
- 除籍謄本、改製原戸籍
- 被相続人の住民票除票(または戸籍の附票)
- 相続人全員の戸籍謄本
遺産分割協議で必要になる書類
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
財産別に必要になる書類
- 預貯金:通帳、キャッシュカード、銀行所定の相続届
- 不動産:固定資産評価証明書、登記簿謄本
- 車:車検証、譲渡証明書、印鑑証明書
- 株式:証券会社の残高証明書など
遺言書がある場合
- 遺言書(公正証書遺言・自筆証書遺言など)
- 自筆証書遺言の場合は検認済証明書(原則)
戸籍収集は本籍地が複数にわたることが多く、平日に役所へ問い合わせが必要になるため、思った以上に手間がかかります。
5. 費用
相続手続きを自分で行う場合、専門家報酬が不要になるため費用は抑えられます。ただし「完全無料」というわけではありません。
自分で相続手続きをする場合の費用
- 戸籍謄本・除籍謄本など:数千円〜2万円程度
- 印鑑証明書:数百円×人数
- 固定資産評価証明書:数百円
- 郵送費・交通費:数千円程度
合計でおおむね1万円〜3万円程度に収まるケースが多いです。
専門家へ依頼する場合の費用相場
行政書士へ依頼した場合は、以下が目安です。
- 戸籍収集・相続人調査:3万円〜7万円
- 遺産分割協議書作成:5万円〜15万円
- 相続手続き一式:10万円〜30万円程度
費用はかかりますが、時間と精神的負担を大幅に減らせる点が大きなメリットです。
6. 手続きの流れ
相続手続きを自分で行う場合、基本的な流れは次の通りです。
① 死亡届提出・葬儀関連の手続き
まずは役所へ死亡届を提出し、年金停止や健康保険の手続きなどを進めます。
② 遺言書の有無を確認
遺言書があるかないかで相続手続きは大きく変わります。
公正証書遺言なら比較的スムーズです。
③ 相続人を確定する(戸籍収集)
被相続人の出生から死亡までの戸籍を集め、相続人を確定します。
ここが不完全だと銀行や法務局で手続きができません。
④ 相続財産を調査する
預貯金、不動産、株式、借金などを調べ、財産目録を作成します。
⑤ 相続放棄の判断(3か月以内)
借金がある場合は相続放棄を検討します。期限は原則3か月以内です。
⑥ 遺産分割協議を行う(遺言がない場合)
相続人全員で遺産の分け方を決めます。
⑦ 遺産分割協議書を作成する
銀行や不動産名義変更で必要になるため、正確に作成します。
⑧ 各種名義変更・解約手続き
- 銀行口座の解約・払戻し
- 不動産の相続登記
- 自動車名義変更
- 株式の名義変更
これらを進めて相続手続き完了となります。
7. よくある失敗
相続手続きを自分で進める場合、次の失敗がよくあります。
戸籍が揃わず相続人が確定できない
戸籍は「出生から死亡まで」必要です。途中の戸籍が抜けていると、金融機関で手続きができません。
遺産分割協議書の記載ミス
不動産の地番、銀行名、口座番号などの記載ミスで差し戻しになることがあります。
相続放棄の期限を過ぎてしまう
借金がある可能性があるのに放置してしまい、相続放棄(3か月以内)ができなくなるケースがあります。
相続人の印鑑証明書の期限切れ
金融機関は「発行から3か月以内」など条件を設けている場合があります。
相続登記を放置して後で手続きが困難になる
不動産の名義変更をしないまま次の相続が発生すると、相続人が増えて手続きが非常に難しくなります。
8. 行政書士に依頼するメリット
相続手続きは自分でできる一方、行政書士に依頼することで得られるメリットも大きいです。
面倒な戸籍収集を任せられる
相続の中で最も手間がかかるのが戸籍収集です。行政書士なら漏れなく取得し、相続関係説明図も作成できます。
遺産分割協議書を正確に作成できる
遺産分割協議書は銀行や登記で重要な書類です。行政書士が作成することで不備を防ぎ、手続きをスムーズに進められます。
相続手続きの全体像を整理できる
「何を先にやるべきか」「期限はいつか」など、相続の流れを整理しながら進められます。
他士業と連携してワンストップ対応が可能
不動産登記は司法書士、相続税申告は税理士の業務です。行政書士が窓口となって連携すれば、依頼者の負担を減らせます。
9. まとめ
相続手続きは、条件が整っていれば自分で行うことも可能です。
ただし実際には、戸籍収集、相続人調査、財産調査、遺産分割協議書作成など、専門知識が必要な場面が多く、途中でつまずくケースも少なくありません。
特に相続放棄(3か月以内)や相続税申告(10か月以内)など期限がある手続きもあるため、早めに動くことが重要です。
「自分でできるか不安」「時間が取れない」「書類の不備が怖い」という場合は、行政書士に相談することで、手続きを確実かつスムーズに進めることができます。
代表 上田信吾
所在地 兵庫県神戸市中央区坂口通6-3-22-2
電話 050-5873-4548(受付 8:00~18:00)
休業日 不定休

