制度の概要・16分野・取得条件・受入企業の義務を行政書士が徹底解説
- 1. はじめに
- 2. 特定技能制度とは?
- 3. 特定技能1号と特定技能2号の違い
- 4. 特定技能の対象分野(2026年版)
- 5. 注意が必要な最新情報(2026年)
- 6. 特定技能になるための要件
- 7. 技能実習・育成就労との関係
- 8. 特定技能外国人を受け入れる企業の要件
- 9. 登録支援機関とは?
- 10. 2026年の実務上のポイント
- 11. 特定技能申請に必要な書類
- 12. 1号特定技能外国人支援計画とは?
- 13. 定期届出・随時届出
- 14. 不許可になりやすいケース
- 15. 行政書士が実践する許可率を高めるポイント
- 16. よくある質問(FAQ)
- 17. 企業が陥りやすい失敗例
- 18. 行政書士へ依頼するメリット
- 19. まとめ
- 20. 無料相談のご案内
1. はじめに
「人手不足なので外国人を採用したい。」
「技能実習生を引き続き雇用したい。」
「特定技能と技術・人文知識・国際業務の違いが分からない。」
近年、このような相談が急速に増えています。
少子高齢化による労働力不足を背景に、日本では外国人材の受入れが拡大しており、その中心的な制度となっているのが特定技能制度です。
特定技能制度は2019年4月に創設され、その後も対象分野の追加や運用の見直しが続いています。2026年4月には運用要領や提出書類が改訂され、実務上の取扱いも更新されました。
また、技能実習制度は今後「育成就労制度」へ移行することが予定されており、特定技能制度との連携がさらに重要になります。
この記事では、
- 特定技能制度とは
- 特定技能1号・2号の違い
- 対象16分野
- 取得要件
- 必要書類
- 企業の義務
- 最新制度改正
- 不許可事例
まで、2026年最新情報を踏まえて詳しく解説します。
2. 特定技能制度とは?
特定技能とは、日本国内で深刻な人手不足が生じている産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人の就労を認める在留資格です。
従来の技能実習制度が「技能移転」を目的としていたのに対し、特定技能制度は人材確保を目的としている点が大きな違いです。
現在は、多くの企業が外国人採用の中心制度として活用しています。
3. 特定技能1号と特定技能2号の違い
特定技能には「1号」と「2号」があります。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
| 技能水準 | 相当程度の知識・経験 | 熟練した技能 |
| 在留期間 | 通算5年まで | 更新可能(上限なし) |
| 家族帯同 | 原則不可 | 一定要件で可能 |
| 支援計画 | 必要 | 原則不要 |
| 永住への道 | 条件次第 | 長期在留につながる可能性あり |
企業にとって最も利用されているのは特定技能1号ですが、熟練した技能を持つ外国人については2号への移行も可能です。対象分野や移行要件は分野ごとに異なります。
4. 特定技能の対象分野(2026年版)
2026年現在、特定技能1号の対象は16分野です。
対象分野は次のとおりです。
- 介護
- ビルクリーニング
- 工業製品製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 自動車運送業
- 鉄道
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
- 林業
- 木材産業
2024年に自動車運送業・鉄道・林業・木材産業が追加され、現在の16分野となっています。
5. 注意が必要な最新情報(2026年)
制度は毎年のように見直されているため、最新情報の確認が重要です。
例えば、外食業分野では受入見込み数の上限に達する見込みとなったため、2026年4月13日以降、新規の在留資格認定証明書交付申請や一部の在留資格変更申請が原則停止されています。外食業で外国人採用を検討している企業は、受入再開の有無を含めて最新の公表情報を確認する必要があります。
6. 特定技能になるための要件
特定技能1号の在留資格を取得するためには、原則として次の2つの要件を満たす必要があります。
- 技能水準
- 日本語能力
これらは、分野別の技能試験と日本語試験によって確認されます。(法務省)
(1)技能試験
希望する分野ごとに実施される技能評価試験に合格する必要があります。
例えば、
- 介護
- 外食業
- 建設
- 農業
- 自動車運送業
など、それぞれ別の試験が実施されています。
試験内容は各分野の業務を安全かつ適切に行える知識・技能を確認するものです。
(2)日本語試験
原則として、日本語能力試験(JLPT)N4以上相当、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)など、制度で認められた試験への合格が必要です。分野によっては追加要件が設けられている場合もあります。
7. 技能実習・育成就労との関係
従来は、技能実習2号を良好に修了した外国人は、同一分野の特定技能1号へ移行する場合、技能試験・日本語試験が免除される取扱いとなっています。
また、今後は技能実習制度に代わる育成就労制度への移行が予定されており、育成就労から特定技能への接続が制度の基本設計となります。制度の詳細は今後の政省令・運用で具体化される予定です。
8. 特定技能外国人を受け入れる企業の要件
外国人本人だけでなく、受入企業(特定技能所属機関)にも一定の要件があります。
主な要件は次のとおりです。
(1)適正な雇用契約
雇用契約は、
- 日本人と同等以上の報酬
- 労働関係法令の遵守
- 社会保険への適正加入
などの条件を満たしている必要があります。
(2)法令遵守
受入企業は、
- 労働基準法
- 最低賃金法
- 労働安全衛生法
- 社会保険関係法令
- 税法
などを遵守していなければなりません。
重大な法令違反がある企業は、受入れが認められない場合があります。
(3)支援体制の整備
特定技能1号では、外国人が日本で安定して生活・就労できるよう、1号特定技能外国人支援計画を作成・実施する必要があります。
支援は、
- 自社で実施する
- 登録支援機関へ全部委託する
のいずれかの方法で行います。
(4)分野別協議会への加入
多くの分野では、受入企業は所定の時期までに分野別協議会へ加入する必要があります。
加入時期や手続は分野によって異なるため、各分野のルールを確認することが重要です。
9. 登録支援機関とは?
登録支援機関とは、受入企業から委託を受けて、1号特定技能外国人への支援を実施する機関です。
2026年6月時点で、約11,400件を超える登録支援機関が登録されています。
主な支援内容
登録支援機関は、次のような支援を行います。
- 入国時の空港出迎え
- 住居確保の支援
- 市区町村での各種手続の同行
- 銀行口座開設の支援
- 日本語学習に関する情報提供
- 生活オリエンテーション
- 定期面談
- 相談・苦情への対応
- 転職支援(やむを得ない場合)
これらは法令で定められた支援項目です。
自社支援は可能?
可能です。
ただし、自社で支援を行う場合は、
- 支援責任者
- 支援担当者
- 外国人が理解できる言語による支援体制
など、法令上の要件を満たす必要があります。体制整備が難しい企業は、登録支援機関へ委託するケースが一般的です。
10. 2026年の実務上のポイント
2026年4月1日の運用要領改訂では、提出書類一覧や運用要領が更新されました。また、一定の実績を有し適正な受入れを行っている企業については、一部の適格性書類の提出が省略できるなど、手続の簡素化も進められています。
一方で、届出様式や参考様式も更新されているため、旧様式を使用しないよう注意が必要です。
11. 特定技能申請に必要な書類
提出書類は、
- 在留資格認定証明書交付申請
- 在留資格変更許可申請
- 在留期間更新許可申請
によって異なりますが、代表的なものは次のとおりです。
(1)外国人本人に関する書類
- 在留資格申請書
- 写真
- パスポート
- 在留カード(国内申請)
- 履歴書
- 技能試験合格証
- 日本語試験合格証
- 卒業証明書(必要な場合)
(2)受入企業に関する書類
- 雇用契約書
- 労働条件通知書
- 登記事項証明書
- 決算書
- 会社案内
- 社会保険加入資料
- 支援計画書
- 分野ごとに必要な書類
2026年4月改訂後は、提出書類一覧表も更新されていますので、必ず最新様式を使用する必要があります。
12. 1号特定技能外国人支援計画とは?
特定技能1号では、
受入企業または登録支援機関が
外国人を支援する義務があります。
これを
1号特定技能外国人支援計画
といいます。
支援項目(10項目)
① 事前ガイダンス
来日前または在留資格変更前に、
仕事内容
給与
生活費
労働条件
などを説明します。
② 出入国時の送迎
空港への送迎
帰国時の見送り
③ 住居確保支援
- アパート探し
- 保証人支援
- ライフライン契約
④ 生活オリエンテーション
日本で生活するために必要な
- ごみ出し
- 災害対応
- 医療制度
- 交通ルール
などを説明します。
⑤ 公的手続への同行
- 市区町村
- 年金
- 健康保険
- 銀行口座
などの手続を支援します。
⑥ 日本語学習支援
日本語教室の紹介
教材の案内
オンライン学習情報の提供
などを行います。
⑦ 相談・苦情対応
外国人からの相談を受け、
必要に応じて行政機関などへつなぎます。
⑧ 日本人との交流促進
地域イベント
交流会
ボランティア活動
などへの参加機会を提供します。
⑨ 転職支援
会社都合で雇用契約が終了した場合など、
次の就職先探しを支援します。
⑩ 定期面談
受入企業
または登録支援機関が
外国人本人および監督者と
3か月に1回以上
面談を実施します。
重要なポイント
2025年の制度改正後も、
定期面談は3か月ごと
のまま変更されていません。
13. 定期届出・随時届出
制度改正で最も大きく変わった点の一つです。
定期届出
従来:四半期ごと でしたが、
現在は:年1回 となりました。
提出期間は、対象年度終了後の4月1日から5月31日までです。例えば、2025年4月1日から2026年3月31日までの実績については、2026年4月1日から5月31日までに届け出ます。
随時届出
一方、次のような事項が発生した場合は、年1回を待たず、速やかに届け出る必要があります。
例
- 雇用契約終了
- 受入困難
- 支援責任者変更
- 登録支援機関変更
- 所在地変更
- 会社名変更
など
改正後は、定期届出が簡素化された代わりに、随時届出の対象事項が拡大されています。
14. 不許可になりやすいケース
行政書士として相談を受ける中でも、次のようなケースは注意が必要です。
ケース1
試験に合格していない→ 技能試験・日本語試験の要件未充足
ケース2
給与が低い→ 日本人と同等以上の報酬でない
ケース3
社会保険未加入→ 企業要件を満たさない
ケース4
支援体制が整っていない→ 自社支援要件を満たさない
ケース5
分野外業務を行わせる
例えば介護分野で採用した外国人に倉庫作業だけを担当させる
など業務内容が分野基準に適合しないケースです。
15. 行政書士が実践する許可率を高めるポイント
実務では、次の資料を追加すると審査がスムーズになることがあります。
- 職務内容説明書
- 業務フロー図
- 組織図
- 教育計画
- 写真付き会社案内
- 外国人採用理由書
これらは法定提出書類ではありませんが、受入れの必要性や業務内容を具体的に示すことで、審査官の理解を得やすくなります。
16. よくある質問(FAQ)
Q1. 特定技能と「技術・人文知識・国際業務」の違いは何ですか?
最も大きな違いは従事できる業務の内容です。
技術・人文知識・国際業務は、大学等で学んだ専門知識を活かすホワイトカラー業務が中心です。
一方、特定技能は、人手不足が深刻な16分野において、現場業務を含む仕事に従事することができます。
例えば、
- ITエンジニア → 技術・人文知識・国際業務
- 介護職員 → 特定技能
- 建設作業員 → 特定技能
という違いがあります。
Q2. 技能実習生は必ず特定技能へ移行できますか?
いいえ。
技能実習2号を良好に修了した場合は、同一分野であれば技能試験・日本語試験が免除されることがありますが、在留資格の要件を満たしていることが前提です。
受入企業側にも要件があるため、自動的に移行できるわけではありません。
Q3. 特定技能外国人は転職できますか?
できます。
ただし、
- 同一分野であること
- 新しい勤務先が受入要件を満たしていること
- 必要な届出や在留資格変更手続(必要な場合)を行うこと
が必要です。
Q4. 家族を日本へ呼ぶことはできますか?
特定技能1号
原則として認められていません。
特定技能2号
配偶者・子の帯同が認められる場合があります。
Q5. アルバイトはできますか?
できません。
特定技能は、
受入企業との雇用契約に基づく就労のみ認められています。
副業・アルバイトを自由に行える制度ではありません。
Q6. 登録支援機関へ必ず委託しなければなりませんか?
必ずではありません。
受入企業自身が法令で定める支援体制を整えている場合には、自社で支援を実施できます。
ただし、支援責任者・支援担当者の配置や多言語対応などの要件を満たす必要があるため、中小企業では登録支援機関へ委託するケースが多く見られます。
17. 企業が陥りやすい失敗例
失敗① 「人手不足だから採用できる」と考えてしまう
特定技能制度は、人手不足であれば誰でも採用できる制度ではありません。
分野ごとの受入基準や雇用条件を満たす必要があります。
失敗② 業務範囲を理解していない
例えば、
「宿泊分野」で採用した外国人に、
ホテル業務とは無関係な工場作業を継続的に担当させることは認められません。
実際の業務内容が分野の範囲内かどうかを確認することが重要です。
失敗③ 支援を形だけで済ませてしまう
生活オリエンテーションや定期面談は、実施記録を含めて適切に行う必要があります。
支援を実施していない、または記録が残っていない場合は、受入企業としての適格性に影響する可能性があります。
失敗④ 届出を忘れる
2025年の制度改正により定期届出は年1回になりましたが、随時届出は引き続き必要です。
契約終了や登録支援機関の変更など、届出が必要な事由が発生した場合は期限内に対応しなければなりません。
18. 行政書士へ依頼するメリット
特定技能制度では、「申請書を書くこと」よりも、制度設計と受入体制の整備が重要になります。
行政書士へ依頼すると、
- 受入要件の事前確認
- 必要書類の収集
- 支援計画書の作成
- 雇用契約書のチェック
- 分野ごとの要件確認
- 出入国在留管理局への申請
- 追加資料への対応
- 更新・変更申請の継続サポート
まで、一貫した支援を受けることができます。
特に初めて外国人材を受け入れる企業では、制度を正しく理解したうえで準備を進めることが、円滑な受入れにつながります。
19. まとめ
特定技能制度は、日本の深刻な人手不足に対応するために創設された重要な在留資格です。
2026年現在、対象分野は16分野となり、制度や運用も継続的に見直されています。
また、2025年の制度改正では、
- 定期届出が年1回へ変更
- 一部提出書類の簡素化
- 運用要領・様式の改訂
など、企業実務に影響する変更が行われました。
外国人材の受入れを成功させるためには、
- 外国人本人の要件
- 受入企業の要件
- 支援体制
- 分野ごとのルール
を正しく理解し、最新の制度に沿って手続を進めることが重要です。
20. 無料相談のご案内
外国人材の採用をご検討中の企業様、または特定技能への在留資格変更をご希望の方は、お気軽にご相談ください。
当事務所では、
- 特定技能の要件確認
- 必要書類のご案内
- 在留資格認定証明書交付申請
- 在留資格変更許可申請
- 在留期間更新許可申請
- 登録支援機関との連携に関するご相談
など、状況に応じたサポートを行っています。
代表 上田信吾
所在地 兵庫県神戸市中央区坂口通6-3-22-2
電話 050-5873-4548(受付 8:00~18:00)
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